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これがレースだ

気がついたら、
ミハエルのレースは、終わっていた。

そのすぐ直前まで、
私の目の前を、
アロンソに大きな差をつけて、大気を切り裂く轟音とともに
誇らしげに通り過ぎていったミハエルのマシンが、

大型モニターの中で、
絶叫とともに、
白煙を吹き上げていた。


それが、・・・ミハエルの、走りを見た最後だった。

あんまりあっけなくて、
嘘みたいで、

声が出なくて、
涙も出なかった。

これで、ミハエルのタイトルへの戦いが、終わってしまった。

たぶん、それは、ピットに戻ってきたミハエル自身が
一番知っていたことのようだ。
ピットに帰るなり、
次々メカニックと握手し、まるで肉親のように抱きしめた。

おつかれさま、今までいっしょに戦ってくれてありがとう。

って言うように。

悔しそうとか、悲しそうではなくて、
ただただ、みんなを抱きしめて、泣き出しそうなチームのみんなを抱きしめてた。

だから、

ああ、この人のレースは、
ここで終わったんだ。

そう、思った。


なぜ、ミハエルが愛した鈴鹿で、
圧倒的優位を誇ったタイヤで、
絶好のコンディションで、
あんなに勝ち進んでいて、

なぜ、4年間壊れなかったフェラーリのエンジンが、
ここで火を吹いたのか。

何が何だか分からない。

でも、私は、1人でサーキットのメインスタンドで、
ぼんやりすわってたときから、ずっと、たった一つの言葉しか思いつかなくて。

「これが、レースだ」

きっと、ミハエルだったら、そう言うだろう。
チームのことを気遣って。何も後悔を残すまいと。
きっと、ミハエルはそう言うはず。

だから、私も、
あれこれタラレバを語っちゃいけないんだ。

そうやって、涙も出ないまま、呆然と
東京に向かう新幹線の中、
F1ニュースサイトを見たら、
ミハエルのコメントが載っていた。

僕たちのチームは素晴らしい。スタッフは最高で、僕はフェラーリのみんなが大好きなんだ。彼らの仕事のやり方に僕はいつも本当に満足しているんだよ。今日みたいなことは起こる可能性のあるものだし、それもレースの一部だ。
僕たちは勝つときも一緒だし、負けるときも一緒なんだよ。今日は僕たちはベストをつくし、僕はトップを走っていたけれど、エンジンが壊れてしまった。

今日のことをものすごく簡単にまとめると、こうなるね。
これがF1なんだ。

僕たちはカナダ以降に達成したことを誇りに思っていいと思う。25ポイントも差をつけられて、誰もまたチャンピオンシップを戦えるようになるとは思っていなかった。でもできたんだ。これでコンストラクターズ争いで9ポイントリードされたことになるけど、ブラジルではタイトルをとるためにできる限りのことをするつもりだよ。ドライバーズタイトルは、負けたと思う。僕はライバルがリタイヤすることを期待してレースに向かいたくはない。そんなふうにタイトルを勝ち取ることは望んでいないよ。


読んだとたん、涙が出た。

ミハエルの、最後の希望を打ち砕いた鈴鹿。

そのすべてが、レースだった、としか言いようがない。
それだけは、誰にも手を触れられないもの。
どんな競技にもありえない、
F1というモータースポーツだけにありうる番狂わせ。
誰が悪いわけでもない。
みんなで一生懸命がんばって、なにひとつ悪くなくても、
それでも負けることがある。
タイトルを、たった1戦で、あきらめなくてはならなくなることもある。

それが、だけど、レースなんだ。

私たちが、魅了され、
毎回毎回手に汗を握って、
天国に行ったり地獄に行ったりするような、
そんな奇跡のような瞬間。

努力と、精神力と、そして最後は、運を引き寄せる力。
それに屈しない力。

だから、レースはおもしろいんだと思う。

そしてそれが、ミハエルの愛したものだったんだと思う。


あと1戦。ブラジル。
これはもう、ミハエルとのさよならレースでしかない。
あとは、アロンソがどこの位置にいようと、
私は、ミハエルの優勝だけを祈って応援する。
それだけでいい。
ミハエルが優勝して引退してくれればそれでいい。

その姿をずっと見てるから。

最後に。

鈴鹿に行って、ミハエルのマシンに大きな声援を送って。
レースのあと、ピットから出てきたミハエルに、
みんなで、ずっとずっと手を振った。
ミハエルも、いっぱい手を振り返してくれた。

私たちは、みんな、ミハエルが大好きなんだって、
ミハエルに伝わってくれたらいい。
そう思ってた。

だから、
今日この日、鈴鹿でミハエルを応援できたことは、
本当に良かったと思う。
いまはまだ、レースを思い返す余裕もないくらい
本当は胸がつまりそうなほど苦しいんだけど、
最後の1ラップを、ちゃんと声援で送り出せなかったことは、
本当につらいんだけど、

でも、

最後に、ミハエルに、会いにいけて良かった。
ミハエルを大好きな人たちと、いっしょに、
ミハエルに声援を送れて良かった。

そう思います。
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これがレースだ、まさにその通りですね。鈴鹿では色々ありました。不運だった98年、感動の00年、僅差で獲った03年、そして今年・・・。
これがレースなんですね。モンツァでアロンソを襲うこともあれば、ミハエルを襲うことだってあるということ。それがたまたま鈴鹿であって・・・。

でも、ピットでクルーたちをねぎらう姿には、やれることは全てやった、その上でのこの結果、それは受け入れるしかない、って感じがしました。ミハエルがそう思ってるんだから(多分そうだと思うが・・・)、僕もそれは受け入れますよ。

ブラジルGP.確かに他力本願なんで厳しい条件だけど、そう、ミハエルの優勝を心から応援します。もう見られない彼の走りを、しっかり目に焼き付けます。

プレスというものは時に残酷で、情報の断片を私たちに投げつけて、それがすべてであるかのように振る舞う。

総合ポイントでアロンソに10ポイントのリードを奪われたF1界の皇帝はレース後、「正直言って、(今季)王者になるチャンスはないと思う」と敗北宣言ともみられるコメントを残した。
(ロイター)

コノ記事を読んでから、プレカンもニュースも見る気がなくなって夜になって、でも、ココを見て、ロイターのニュアンスが全く違っていることに気がついて。ミハエルはアロンソのリタイアを期待しながらのレースなんてしたくないのだ。ミハエルを知らない人にとっては「ただ諦めた」としか見えないことかもしれないけれど、私にはミハエルが大切にするものが“守られている”ことを知って、そのことで、ミハエルが最後までちゃんとミハエルでいてくれたような気がして、心のつかえが取れたような気がしました。

思えば今シーズン当初、サンマリノだかニュルだかの頃、「週末の外出はご勘弁」→「WHY?」→「いや実は今シーズンのF1はスゴいことになっていて」なんて話があって、以降、約7年ぶりに引きずり込まれてすっかりハマッたF1の世界。あの時、ぶちょ~とあんな話をしていなければ、私がこんなに悲しむこともなければ、こんなに感動することもなかったのでしょう。

ミハエルより先に、ひとこと。
ぶちょ~、ありがとう。宝石のようにキラキラに輝くこのシーズンを、私は一生忘れることはないでしょう。BGMはボヘミアン・ラプソディーで。

リタイアした後、チームクルーを一人一人称えるミハエルの姿には少しグッときました。
これが11年間、チームの核となって名門復活に尽力を注いできたチャンピオンの姿なのだと、しみじみ思います。

それだけに、彼のコメントの後半部分は残念に思います。
まさか今更、自分を飾ろうとするとは思いませんでした。
正直、少し幻滅すら覚えましたね。

鈴鹿ではお会いできてなによりでした。
私も先ほど帰宅しました。

人間、ほんとうに驚愕した時は、叫びもしなければ涙も出ないもんなんだな。と。
03年に琢磨とミハエルが接触した時はどよめいたのに、グランドスタンドがあんなに静まり返った瞬間なんて記憶に無いですよ。
正直リタイヤよりチャンピオンシップよりも、ピットに戻ってきてクルーの皆をねぎらう姿を見たとき時が泣きそうになって、レース後にピット前に出てきて手を振る姿に、自分も手を振りながら「ミハエル、さよなら!」と口に出た時に「ああ、これでもう終わりなのか」とハッと思うとじわっと泣けてきちゃいました・・・
最後のブラジル、もう後一度ドイツ国歌が流れる事を願って、帰る前に伊勢神宮によってお参りしてきました。
そのあと境内を歩いていたら、伊勢神宮の神馬という白馬が飼われてる場所に出くわして、こんなところで馬?!→これはもしや!と思わず神馬にも拝んで帰ってきてしまいましたが・・・(^^;
それはともかく、ブラジルが本当に最後の最後。
ミハエルには最後まで彼らしくあってほしいです。

>欧介さん
ほんとに、鈴鹿には魔物でも棲んでるのか?!と言いたくなります。中国で夢見ちゃっただけに、この鈴鹿はショック大きかった。F1の神様は残酷です。。。でも、これで私も吹っ切れたので、ブラジルは、ミハエルのラストランを、無欲に、無心に応援しようと思います。それが、ミハエルの望んだことならば。ね。

>猫蔵さん
そんな風に言ってもらえてうれしいです。猫蔵さんのおかげで、私も、ミハエル引退のときのショックとかいっぱい助けてもらいましたよ。
ミハエルの言葉には、諦念ではない、何か、レース人生の締めくくりを考えた言葉を感じ取りました。事実、私も、レース後のサーキットで、「次戦、アロンソのリタイアを望みながら見るのは苦しいから、もう、ミハエルのラストランだけをしっかり見届けることにしよう」って心に決めてました。だから、ミハエルの口から同じようなことが聞けてうれしかった。ファンのために、クルーのために、無益なイライラを除いてくれようとした言葉だと信じてます。
本当は、本人が一番信じたくない、言いたくなかった言葉だと思うし。
そんなミハエルを好きでいれて、私は本当に良かったと思います。

>日光さん
そうですね。私も、最初は、「お前が言うか!」と思いました。笑。それか、昔のことを後悔して大人になったのか、とも。でも、ファンとして、次戦、アロンソを呪いながら見るなんて、苦しくてしんどくて嫌です。チームクルーも、そうだと思う。そんなの精神的に負担が大きすぎるし。それならば、全力を尽くして天命を待つ、そんな気持ちで最終戦に臨みたい。それが、唯一彼に出来ることだ、と思っているのではないかと。良く解釈してですが。(;´Д`)
でも、彼自身は、ピットに向かう途中、機材をなぎ倒していたという目撃情報もありますし、そーとー!!!!悔しいはずです。その悔しさを必死に押さえての、自分を落ち着かせようとしてのコメントかもしれません。だって、あの勝ちにこだわるミハエルが、自分から敗北宣言なんて、ぜったい口が裂けても言いたくなかったでしょうしね。本心とコメントは違うと見てますよ。ww

>MUEさん
現地でお会いできてほんと嬉しかったです!おつかれさまでした。
しかし伊勢神宮行ったんですね!それはうらやましい!!!私も神馬にご挨拶したかったです!!!それと、やはり、最後のピットから出てきたミハエルに手を振りましたか。あれは、なんとも言えない気持ちになりましたよね。もっといて欲しい。もっと見ていたかった。もっともっと、ミハエルにありがとうって言いたかった。ホント、叫び声を上げそうになりました。(;´Д`)
あの場所で、あの気持ちをみんなと共有できたことが、私の一番の鈴鹿の思い出です。
プロフィール

ぶちょー

Author:ぶちょー
復活のいぶし銀いろ皇帝!!!!
ミハエルシューマッハは永遠のお気に入りとしつつ、
ヴェッテルもマッサもアロンソも、
とにかく熱いヤツを応援している、
まったりミーハーF1ファンです。

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